【トヨタ シエンタ】12か月点検&故障診断事例(エアフロセンサー不良)

・車種:トヨタ シエンタ
・年式:平成25年式(NCP81G)
・走行距離:90,169km
今回は、法定12か月点検でご入庫いただいたシエンタの整備事例です。
前回投稿した車両と同じなのですが、エンジン不調の経緯をより詳しく解説した内容で再投稿させて頂きます。
初め、法定点検の為OBD点検を実施した所、エンジンチェックランプが点灯した履歴(P1604 始動不良、P2109 スロットル流量異常)が残っておりました。スロットルボディのカーボン蓄積が疑わしい状況でした。
1. 診断の流れ(概要)
- OBD診断でエンジンコンピュータに以下の履歴を確認
- P1604:始動不良
- P2109:スロットル流量異常
- スロットルボディのカーボン付着を確認 → 清掃提案
- 予防整備としてスパークプラグ交換も実施
- 点検後、数値解析でエアフロセンサーの異常が疑わしい状況ではあったが、決定打が無い為、1度車両をお返し。
- 出庫後1週間弱でチェックランプ点灯。再入庫時頂き、コンピュータ診断をするとP0171(リーン異常)を検出 → 最終結果、エアフロセンサー不良と判定
2. 診断データ(プロ向け)
■ 点検前アイドリングデータ
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| エンジン水温 | 91℃ | 完全暖気後 |
| アイドル回転数 | 602rpm | 無負荷 |
| F/B補正値 | 0% | 燃調±25%で異常検出 |
| F/B学習値 | 6.2% | 少しリーン傾向 |
| エンジン負荷値 | 49% | 基準値12〜22%を大きく超過 |
| 吸入空気量 | 1.50g/s | 基準1〜1.8g/s |
| ISC流量学習値 | 3.5l/s |
■ 吸気系清掃及びスパークプラグ交換後のデータ
| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| エンジン水温 | 91℃ | 完全暖気後 |
| アイドル回転数 | 599rpm | 無負荷 |
| F/B補正値 | 4.6% | 燃調±25%で異常検出 |
| F/B学習値 | 7.8% | 少しリーン傾向 |
| エンジン負荷値 | 35.2% | 基準値12〜22%を大きく超過 |
| 吸入空気量 | 1.57g/s | 基準1〜1.8g/s |
| ISC流量学習値 | 1.51l/s |
ISC流量学習値がかなり下がったので、スロットルボディ清掃の成果が出た事は分かりました。エンジン負荷値も下がっています。ただ、補正値、学習値の合計が12.4%とかなりプラスに寄っている事、またエンジン負荷値の基準値は12%~22%なので、まだ高い事が気になります。
因みにF/B(フィードバック)の数値は、簡単に言えば燃料の燃焼状態を数値化した物。
+側であれば燃料が薄い状態、-側であれば濃い状態を示します。
基本的に補正値+学習値は±25%を超えると、チェックランプを点灯(メーカーにより多少違いは有りますが)させ、ドライバーに異常を知らせます。
排気ガスを測定すると、CO 0% HC 0ppm、また走行しても体感する不具合がありません。エアフロが特性ずれを起こしている場合、実際よりも少なく計測する事が多くなります(センサーの抵抗値が上がっている為、電圧値が下がってしまう)。そうすると吸入空気量が少ないと判断したコンピュータはその分に見合った燃料を噴射する為、結果、燃料が薄い(リーン状態)になってしまいます。
正直エアフロセンサーは気になる所ですが、決定的な不具合等は見られません。
一先ずコンピュータの故障履歴を消去し、この状態で様子を見て頂く事としました。
■ 再入庫時のデータ

| 項目 | 値 | 備考 |
|---|---|---|
| エンジン水温 | 96℃ | 完全暖気後 |
| アイドル回転数 | 586rpm | 無負荷 |
| F/B補正値 | -8.6% | |
| F/B学習値 | 15.6% | かなりリーン傾向 |
| エンジン負荷値 | 56% | 基準値12〜22%を大きく超過 |
| 吸入空気量 | 2.21g/s | 暫くして、電動不可等、変化が無いにも関わらず、突電1.56g/sに変化した |
明らかにエアフロセンサーがおかしい為、エアフロに絞って点検を進めます。
■ エアフロ計測値の変動(再入庫時)
| 回転数 | エアフロ(g/s) | F/B補正値 | F/B学習値 |
|---|---|---|---|
| 1200rpm | 2.46 | -11.7% | 27.3% |
| 2400rpm | 4.30 | 0〜0.8% | 27.3% |
| 3000rpm | 5.39 | 3.9% | 27.3% |
| 3600rpm | 6.42 | 6.3% | 28.9% |
回転数上昇に伴いF/B値がプラス寄りに変動 → 実空気量より少なく計測している可能性大。
実際に走行してみると、加速時、少し力が足りない感じがして、若干息継ぎします。
因みにエアフロを外して走行すると加速感は良くなり、急加速にしない限り、息継ぎもしません。またエアフロセンサーをパーツクリーナーで清掃した後、テスト走行すると、やはり良好な状態でした。
この特性からエアフロセンサーの特性ズレと判断しました。
走行距離から念の為、フィードバック制御の方も点検。整備書にアクティブテストでインジェクター噴射時間を操作する事で、A/FセンサーとリヤO2センサー数値変化を読み取る点検方法の記述があった為、点検します。
■ 空燃比系統点検
| 燃料噴射量 | A/Fセンサー(V) | リヤO2センサー(V) | 基準値 |
|---|---|---|---|
| +12%増加 | 2.5 | 0.875 | A/F 3.1V未満 O2 0.55V以上 |
| -12%減少 | 3.79 | 0.035 | A/F 3.4V以上 O2 0.4V未満 |
A/Fセンサー、リヤO2センサー数値は適正の為、空燃比制御に問題が無い事が確認出来ました。
3. 作業内容と結果
- スロットルボディ清掃
- スパークプラグ・エアエレメント交換
- エアフロセンサー交換
- エアバージホース交換(エア吸い込みは無いが、差込口ひび割れの為)
- エンジンオイル・フィルター・エアコンフィルター・バッテリー交換
作業後の改善データ(アイドリング、完全暖気後)
| 項目 | 交換後 | 交換前 |
|---|---|---|
| F/B補正値 | 1.6% | 0〜6.2% |
| F/B学習値 | -2.3% | 27.3% |
| エアフロ(g/s) | 1.54 | 1.56〜2.21 |
| エンジン負荷値 | 34.5% | 49% |
交換前のF/B学習値、アクセルを少し踏むと27.3%に上昇したが、交換後は0.8%となり、
目に見えて変化が見られました。
■ エアフロ計測値の変動(交換後)
| 回転数 | エアフロ(g/s) 交換後 | エアフロ(g/s) 交換前 |
|---|---|---|
| 1200rpm | 2.82 | 2.46 |
| 2400rpm | 5.29 | 4.3 |
| 3000rpm | 6.57 | 5.3 |
| 3600rpm | 8.14 | 6.42 |

交換前と交換後のエアフロ数値の比較グラフです。両方とも綺麗に比例してエアフロ数値が変化していますが、
回転数が上がるほど、乖離が大きくなります。
完了後の走行テストでも息継ぎが解消され、加速力も明確に改善しました。

4. 費用明細
| 作業内容 | 費用(税抜) |
|---|---|
| 12か月定期点検 | ¥13,000 |
| OBD点検(スキャンツール診断) | ¥2,000 |
| エアエレメント交換 | ¥2,140 |
| スロットル清掃+燃料系洗浄(WAKO’S, PETRA) | ¥11,760 |
| スパークプラグ(4本)交換 | ¥10,000 |
| エンジンオイル・オイルエレメント交換+フラッシング | ¥6,000 |
| バッテリー交換(GSユアサ ECO・R 70B24R) | ¥20,000 |
| ブレーキ分解・清掃 | ¥1,800 |
| エアコンフィルター交換 | ¥3,000 |
| その他 | ¥5,180 |
| 小計:¥74,880 | |
| 再入庫(エアフロセンサー&ホース交換) | |
| エアフローメーター交換 | ¥14,200 |
| ホース・ホースクランプ類交換 | ¥5,190 |
| 小計:¥19,390 | |
| 総額:¥103,697 | |
アクセス・店舗情報
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