コンピュータ診断で3段階検証|BMW116iの故障原因を特定

・車種:BMW 116i
・型式:ABA-UE16
・初度登録:平成21年6月
・走行距離:34967km
症状・ご相談内容
BMW 116i(ABA-UE16)を車検整備でお預かりしました。日野市の秀勇自動車では、車検の際に必ずコンピュータ診断(OBD点検)を行い、目に見えない電子制御系のトラブル履歴も確認しています。
今回は車検整備を終え、検査機器による最終確認をしようとしたところ、突然メーターのエンジンチェックランプが点灯しました。チェックランプが点灯したままでは車検に適合しないため、原因の究明が必要となりました。

▲ 車検作業完了後、突然点灯したエンジンチェックランプ(メーター表示)
エンジンチェックランプが点灯している状態では、車検(継続検査)に適合しません。走行できていても、点灯したら早めにコンピュータ診断で原因を確認することをおすすめします。
原因・点検結果
入庫時のOBD点検結果
入庫時にスキャンツールでOBD点検を実施したところ、運転席側フットルームモジュール(FRM)に「9CB5:FRM バッテリーの過放電」という過去故障履歴が残っていました。
令和7年6月(34,878km時)にバッテリーを交換しており、このコードはそれ以前に記録された履歴の可能性があります。ただし、バッテリーテストでは充電状態90%、寿命テスト62%(基準値680CCA、測定値591CCA)、エンジン始動能力テスト100%(9.80V)、充電テスト13.61Vという結果で、若干の放電が見られたため、バッテリーの充電を行う方が良い状態でした。過去故障履歴は消去しました。

▲ 入庫時のOBD点検結果(FRMに過去故障9CB5:バッテリーの過放電の履歴あり)
チェックランプ点灯時の故障コード
車検整備を完了し最終確認をしようとした際にチェックランプが点灯したため、再度スキャンツールを接続して故障コードを確認しました。すると、エンジン(DME)に「2987:エキゾースト側カムシャフトセンサー」の現在故障が検出されました。
故障履歴を消去してもエンジン始動直後に同じコードがすぐ再検出されるため、一時的な不具合ではなく、完全に故障している状態と判断しました。

▲ チェックランプ点灯時のコンピュータ診断結果(2987:エキゾースト側カムシャフトセンサー)
作業工程・技術的なポイント
① センサー配線の点検
まずセンサー部のカプラーを外し、電源、アース回路、信号線の状態を確認しました。電源電圧・アース回路ともに異常はなく、信号電圧も確認できました。

▲ センサー配線の電源電圧測定。電源・アース回路は正常
なお、カプラー裏側が皮膜で覆われており、波形測定ができない状態でした。そのため、配線側ではなくセンサー単体の不良を疑い、次の検証を行いました。
② インテーク側とエキゾースト側のセンサー付け替え検証
部品を調べると、この車両はインテーク側とエキゾースト側で同じ部品(共通部品)のカム角センサーを使用していることが分かりました。そこで念のため、インテーク側とエキゾースト側のセンサーを付け替えて検証しました。

▲ カム角センサーの取付位置(左:エキゾースト側/右:インテーク側)
カム角センサー(カムシャフトセンサー)は、カムシャフトの回転位置をエンジン制御コンピュータへ伝えるセンサーです。コンピュータはこの信号をもとに、燃料噴射や点火のタイミングを制御しています。故障するとエンジンチェックランプが点灯するほか、エンジンの制御に影響が出る場合があります。カム角センサーの故障は比較的多いトラブルの一つです。
付け替えた結果、故障コードは「2987:エキゾースト側」からインテーク側のコード(2983:インテーク側カムシャフトセンサー)に変化しました。不良がセンサーと一緒に移動したことで、配線や車両側ではなくセンサー単体の故障であることが間違いなく確認できました。

▲ センサー付け替え後の診断結果(故障コードがインテーク側に移動)
③ お客様へのご説明とカム角センサー交換
点検の状況と原因をお客様にご説明し、追加作業としてカム角センサーの交換をさせていただきました。インテーク側・エキゾースト側は共通部品のため、カム角センサー(VDO製)とOリングを2個ずつ使用し、取り替えています。
作業結果
センサー交換後、故障コードを消去してエンジンを始動し、チェックランプが点灯しないこと、故障コードが再検出されないことを確認しました。最終的な診断レポートでも全システムが「OK」となり、車検整備を完了としました。

▲ センサー交換後のコンピュータ診断結果(全システムOK)
今回の点検で、エアコンフィルターがかなり汚れており、臭いも出ている状態でした。こちらは後日、取替をおすすめしています(今回のご請求には含まれていません)。
費用明細
| 作業内容・使用部品名 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車検整備基本工賃(24ヶ月点検)〔技術料〕 (下廻り洗浄、前後ブレーキ分解及び清掃、タイヤ空気圧調整及びローテーション、各種サービスリマインダーリセット含む) |
― | ― | 29,000円 |
| 検査機器による点検・調整〔技術料〕 | ― | ― | 5,000円 |
| OBD点検実施(スキャンツールによるDTC読み取り)〔技術料〕 (FRM 9CB5 過去故障のDTC消去を含む) |
― | ― | 2,000円 |
| PETRA オイルシステム・クリーナー | 1.00 | 2,500円 | 2,500円 |
| Wako’s EX-CRUISEスペシャル 5W-40 SN/CF A3/B3(エンジンオイル交換・フラッシング込み) | 4.25 | ― | 部品サービス |
| オイルフィルター HU815/2X(各Oリング、ドレーンガスケット付き) | 1.00 | 3,560円 | 3,560円 |
| PETRA Engine Shield | 1.00 | 3,800円 | 3,800円 |
| 用品特別値引き | 1.00 | -500円 | -500円 |
| Wako’s クーラントブースター(エンジン冷却水復活剤注入) | 1.00 | 2,160円 | 2,160円 |
| Wako’s フューエル1(エンジン内部カーボン洗浄) | 1.00 | 1,800円 | 1,800円 |
| バッテリー・クイックチャージ〔技術料〕 | ― | ― | 2,000円 |
| ウインドウォッシャー液 | 1.00 | 100円 | 100円 |
| パーツクリーナー | 1.00 | 1,800円 | 1,800円 |
| ブレーキフルード(DOT4) | 1.00 | 1,800円 | 1,800円 |
| 【追加作業】スキャンツールによるダイアグ・コードの読み取り・消去/故障コード2987の点検/配線確認(電源電圧・アース回路・信号電圧)/インテーク側センサーとの付け替え検証〔技術料〕 | ― | ― | 工賃サービス |
| 【追加作業】カム角センサー(インテーク及びエキゾースト)取替〔技術料〕 | ― | ― | 5,000円 |
| カム角センサー(IN・EX共通)1214-7518-628(VDO製) 純正定価26,000円 | 2.00 | 17,680円 | 35,360円 |
| Oリング、センサー SM12141748398 | 2.00 | 520円 | 1,040円 |
| 車検・早期ご予約割引(2か月)〔技術料〕 | ― | ― | -1,820円 |
| 自賠責保険(非課税) | ― | ― | 17,650円 |
| 重量税(非課税) | ― | ― | 34,200円 |
| 印紙代(非課税) | ― | ― | 2,600円 |
| 代行料 | ― | ― | 10,000円 |
| 技術料合計 | ― | ― | 41,180円 |
| 部品合計 | ― | ― | 53,420円 |
| 整備料合計 | ― | ― | 94,600円 |
| 諸費用合計 | ― | ― | 64,450円 |
| 10%対象(整備料合計+代行料) | ― | ― | 104,600円 |
| 消費税(10%) | ― | ― | 10,460円 |
| 非課税項目(自賠責保険・重量税・印紙代) | ― | ― | 54,450円 |
| 御請求額 | ― | ― | 169,510円 |
まとめ
今回のBMW 116iは、車検整備の完了後にエンジンチェックランプが点灯するトラブルでしたが、コンピュータ診断で故障コードを読み取り、配線の電気的な点検とインテーク/エキゾースト側のセンサー付け替え検証を行うことで、原因がカム角センサー単体の故障であると確実に特定できました。
輸入車は電子制御の部品が多く、チェックランプが点灯しても原因の見当がつきにくいことがあります。部品を交換する前に、原因を一つずつ切り分けて確認することで、不要な部品交換を避けることができます。
チェックランプが点灯した、車検前に電子制御の状態を確認しておきたい、という場合はお気軽にご相談ください。日野市を中心に、八王子市・多摩市・稲城市など近隣の皆さまの修理・車検に対応しています。
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