ブレーキパッド交換時にローター研磨が必要な理由とは?日野市のセレナ車検事例から学ぶ3つのポイント

・車種:ニッサン セレナ
・型式:DAA-GFC27
・初度登録:平成28年10月
・走行距離:32,677km
症状・ご相談内容
今回は、ニッサン セレナ(DAA-GFC27)の車検整備でお預かりしました。走行距離は32,677kmと比較的少なめですが、年式を考えると各部の消耗が進んでいる箇所もございました。
車検入庫時の点検において、前後のブレーキパッドの残量が基準値を下回っており、さらにブレーキディスクローターに偏摩耗が確認されました。制動性能に直結する重要な箇所のため、早急な対応が必要な状態でした。また、ラジエターキャップの劣化、フロントワイパーゴムの消耗、ブレーキフルードの交換時期到来、エアコンフィルターの汚れも確認されました。
今回の点検で確認されたブレーキパッド残量は、前輪4.0mm・後輪3.8mmでした。一般的にブレーキパッドは残量3mm以下になると交換が推奨されており、このまま走行を続けると制動距離が伸びるほか、ディスクローターへのダメージが拡大するリスクがあります。
原因・点検結果
車検時の詳細点検により、以下の状態が確認されました。
■ ブレーキ系統
前輪・後輪ともにブレーキパッドの残量が少なく(前輪4.0mm/後輪3.8mm)、交換が必要な状態でした。さらに、ブレーキディスクローターには偏摩耗による深い溝(筋状の削れ跡)が確認されました。ディスクローターの表面がレコード盤のような状態になっており、このままパッドのみを交換した場合、ブレーキ鳴きや制動時のペダル振動、パッドの偏摩耗が発生する原因となります。
■ タイヤ
タイヤ溝残量は前輪3.0mm・後輪4.8mmでした。4本すべてで溝残量の減少が見られ、1〜2年以内に交換時期を迎える見込みです。
■ バッテリー
メインバッテリー:充電状態100%・寿命テスト39%(基準値700CCA、測定値551CCA)
サブバッテリー:充電状態100%・寿命テスト83%(基準値400CCA、測定値377CCA)
バッテリー全体の状態は良好と判断しました。メインバッテリーは端子接触不良による誤判定が見られましたが、接触不良を修正することで正常な状態が確認できました。
■ OBD診断(スキャンツールによるDTC読み取り)
故障履歴が記録されていました。内容は以下のとおりです。
・EHC:C10E7 オーバーヒート
・右側スライドドア:B2430-23 スライドドアロックアクチュエータ
・HVAC:U1000-01 CAN通信系
いずれも過去の記録であり、履歴消去後は異常なしを確認しました。
■ その他消耗品
ラジエターキャップの劣化・フロントワイパーゴムの消耗・ブレーキフルードの汚れ・エアコンフィルターの目詰まりが確認されました。
作業工程・技術的なポイント
点検結果をもとに、以下の作業を実施しました。
■ 前後ブレーキ分解・清掃
前後ブレーキキャリパーを取り外し、パーツクリーナーを使用してブレーキ周辺の汚れ・ダストを完全に除去しました。制動性能を最大限に引き出すための重要な前処理です。
■ フロント・ディスクローター研磨
偏摩耗が進んだフロントのブレーキディスクローターを専用機器で研磨しました。表面の筋状の削れを平滑化することで、新しいブレーキパッドとの密着性を高め、ブレーキ鳴き・ペダル振動・パッド偏摩耗を防止します。
[画像1:前輪ブレーキローター研磨前]

[画像2:前輪ブレーキローター研磨後]

ブレーキディスクローターは、パッドとの摩擦によって徐々に摩耗・変形します。表面に深い筋や偏摩耗が生じると、パッドとの接触が不均一になり、ブレーキ鳴き・振動・制動力の低下を引き起こします。専用の旋盤機でローター表面を均一に削り直す「研磨」を行うことで、新品同様の平滑な面を取り戻し、新しいパッドとの最適な密着状態を実現します。ローターの摩耗が許容値内であれば、新品交換よりもコストを抑えながら性能を回復できる有効な整備手法です。
■ フロント・ディスクパッド交換
フロントディスクパッドキットを使用して新品に交換しました。研磨済みのローターと組み合わせることで、安定した制動性能を確保しています。
[画像5:前輪ブレーキパット、新品と古いパット]

■ リヤ・ディスクローター研磨
後輪のブレーキディスクローターも同様に偏摩耗が確認されたため、専用機器で研磨を実施しました。
[画像3:後輪ブレーキローター研磨前]

[画像4:後輪ブレーキローター研磨後]

■ リヤ・ディスクパッド交換
リヤディスクパッドキットを使用して新品に交換しました。
[画像6:後輪ブレーキパット、新品と古いパット]

■ ブレーキフルード交換(DOT4)
ブレーキフルードは吸湿性があるため定期的な交換が必要です。今回はDOT4規格のフルードに全量交換し、ブレーキの油圧性能を維持します。
■ ラジエターキャップ交換
純正部品(品番:21430-8999C)に交換しました。ラジエターキャップは冷却システムの圧力を保持する重要部品で、劣化するとオーバーヒートの原因となる場合があります。
■ エアコンフィルター交換
クリーンフィルターを新品に交換しました。フィルターが目詰まりすると冷暖房の効きが低下し、車内に花粉・ホコリ・カビなどが侵入しやすくなります。
■ ワイパーゴム交換
フロントワイパーラバー(AW3G 650MM・TW10G 350MM)を新品に交換しました。視界確保のために欠かせない消耗品です。
■ エンジン内部カーボン洗浄
Wakos フューエル1を使用してエンジン内部のカーボン堆積物を洗浄しました。燃焼効率の改善・燃費向上に効果的です。
■ エア・クリーナー・フィルター清掃
エアクリーナーエレメントを点検・清掃しました。
■ タイヤ空気圧調整・ローテーション
4輪のタイヤ空気圧を適正値に調整するとともに、タイヤローテーションを実施しました。偏摩耗の防止とタイヤ寿命の延長に効果があります。
点検の結果、4本すべてのタイヤで溝残量の減少が確認されました(前輪3.0mm・後輪4.8mm)。スリップサインが出る残量1.6mmまでの余裕はありますが、1〜2年以内に交換時期を迎える見込みです。早めのご検討をおすすめします。
作業結果
前後ブレーキパッドの交換およびディスクローターの研磨により、制動性能が大幅に回復しました。ブレーキペダルの踏み込み感が改善され、鳴きや振動も解消されています。
その他の消耗品(ラジエターキャップ・ワイパーゴム・ブレーキフルード・エアコンフィルター)も一括して交換・整備を完了し、次回車検(令和9年10月30日)まで安心してご使用いただける状態に仕上がりました。
なお、OBD診断で検出された故障履歴はいずれも過去のもので、履歴消去後に再発は見られませんでした。バッテリーも現時点では良好な状態ですが、メインバッテリーの寿命テスト値(39%)を考慮すると、今後の経過観察をおすすめします。
費用明細
| 作業内容・部品名 | 数量 | 単価(円) | 金額(円) |
|---|---|---|---|
| 【車検整備】 | |||
| 車検整備基本工賃(24ヶ月点検) | — | — | 29,000 |
| 検査機器による点検・調整 | — | — | 5,000 |
| OBD点検(スキャンツールによるDTC読み取り) | — | — | 2,000 |
| 【消耗品交換・部品】 | |||
| ① ラジエターキャップ(21430-8999C) | 1.00 | 1,190 | 1,190 |
| ② Wakos フューエル1(エンジン内部カーボン洗浄) | 1.00 | 2,160 | 2,160 |
| ③ フロントワイパーラバー AW3G 650MM | 1.00 | 1,250 | 1,250 |
| ③ フロントワイパーラバー TW10G 350MM | 1.00 | 900 | 900 |
| ウインドウォッシャー液 | 1.00 | 100 | 100 |
| ④ パーツクリーナー(前後ブレーキ分解・清掃) | 1.00 | 1,800 | 1,800 |
| ④ ブレーキフルード(DOT4) | 1.00 | 1,800 | 1,800 |
| フロント・ディスクパッドキット | 1.00 | 10,300 | 10,300 |
| フロント・ディスクローター研磨(技術料) | — | — | 8,000 |
| リヤ・ディスクパッドキット | 1.00 | 8,500 | 8,500 |
| リヤ・ディスクローター研磨(技術料) | — | — | 8,000 |
| ⑥ エアコンフィルター取替(技術料) | — | — | 3,000 |
| ⑥ クリーンフィルター(エアコンフィルター) | 1.00 | 2,100 | 2,100 |
| 【諸費用(非課税)】 | |||
| 自賠責保険 | — | — | 17,650 |
| 重量税 | — | — | 32,800 |
| 印紙代 | — | — | 2,300 |
| 代行料 | — | — | 8,182 |
| 【合計】 | |||
| 技術料合計 | — | 55,000 | |
| 部品合計 | — | 30,100 | |
| 整備料合計(技術料+部品合計) | — | 85,100 | |
| 諸費用合計(非課税) | — | 60,932 | |
| 消費税(10%対象:93,282円) | — | 9,328 | |
| 御請求額(税込) | — | ¥155,360 | |
まとめ
今回は、ニッサン セレナ(DAA-GFC27)の車検整備をお預かりし、制動性能に関わる重要な整備を中心に実施しました。走行距離は32,677kmと比較的少ない車両ですが、年式(平成28年10月初度登録)相応に消耗品の交換・補修が必要な状態でした。
特にブレーキ系統は、パッドの残量不足だけでなくディスクローターの偏摩耗も確認されました。ローターを研磨せずにパッドのみを交換した場合、ブレーキ鳴きやペダル振動・パッド偏摩耗が再発するリスクがあります。今回はパッド交換と合わせてローター研磨を実施したことで、新品に近い制動性能を取り戻すことができました。
また、ラジエターキャップ・ワイパーゴム・ブレーキフルード・エアコンフィルターなど、安全・快適に関わる消耗品もまとめて交換しています。次回車検は令和9年10月30日の予定です。
・タイヤの溝残量が少なくなっています(前輪3.0mm・後輪4.8mm)。1〜2年以内を目安に交換をご検討ください。
・メインバッテリーの寿命テスト値が39%(基準値の約79%)となっています。今後の経過を定期点検でご確認いただくことをおすすめします。
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