コンピュータ診断で2段階確認|ヴィッツの燃調異常を車検で改善

・車種:トヨタ ヴィッツ
・型式:DBA-SCP90
・初度登録:平成19年4月
・走行距離:39901km
症状・ご相談内容
日野市の秀勇自動車に、トヨタ ヴィッツ(DBA-SCP90)を車検整備でお預かりしました。
「エンジンの調子が悪い」「エアコンから変なにおいがする」といった、はっきりした不具合のご相談ではありませんでしたが、車検の点検を進める中で、見逃したくないポイントがいくつか見つかりました。
まず、検査機器による点検とOBD点検(コンピュータ診断)では異常はありませんでした。ただ、エンジンのリアルタイムデータを確認すると、エンジンコンピュータが「燃料が濃い状態」だと判断していることが分かりました。
OBD点検は、あくまで「故障履歴(故障コード)の有無」を確認するものです。当店では念のため、車検の際にエンジンのリアルタイムデータも合わせて確認するようにしています。故障コードが出ていなくても、データの中に「予兆」が見つかることがあります。
あわせて、エアコンの空調から「やや異臭を感じる」状態でもありました。そのほか、足まわりのゴム部品にも気になる箇所が見つかっています。

▲ 電子制御式燃料噴射装置(一般的なNA車)のシステム概略図。空気量や排気の状態をセンサーで確認しながら、ECU(エンジンコンピュータ)が燃料の量を調整しています。
原因・点検結果
燃料が濃い状態と判断されていた原因は「吸気系の汚れ」の疑い
リアルタイムデータで燃料が濃い状態と判断されていたことから、スロットルボディなど吸気系の汚れが疑われたため、点検を行いました。
すると、やはりスロットルボディにはカーボンが堆積しており、黒く汚れていました。清掃をした方がよい状態です。

▲ 洗浄前のスロットルボディ内部。カーボンが堆積し、黒く汚れています。
ガソリンエンジンは、エアフロセンサーでエンジンに入る空気量を測定し、その空気量に合わせて燃料を噴射します。基本となるのが、ガソリン1に対して空気約14.7という「理論空燃比」です。
さらに排気側に取り付けられているA/Fセンサーによって排気ガス中の酸素量を確認し、実際の燃焼状態に合わせて燃料量を細かく調整しています。
診断機には、この調整状況が次のように表示されます。
・A/F補正値=その瞬間に行っているリアルタイムの補正
・A/F学習値=これまでの補正状況をコンピューターが学習した基準値
数値がプラス側であれば燃料を増やす方向、マイナス側であれば燃料を減らす方向に補正しているという意味になります。
一般的には学習値と補正値を合わせて±10%程度以内で推移していれば大きな問題はないことが多く、20%を超えるような状態になってくると、コンピューターの補正範囲を超えてチェックランプ点灯などにつながる場合があります。
今回のヴィッツでは、洗浄前の空燃比学習値が-10.2%でした。マイナス側に補正して燃料を減らしている状態で、一般的な目安である10%付近に達していました。
左右前輪スタビライザーリンクのゴムカバー(ブーツ)が破れている
足まわりの点検では、左右前輪のスタビライザーリンクのゴムカバーが破れており、交換が必要な状態でした。

▲ 交換前のスタビライザーリンク。ゴムカバー(ブーツ)が破れています。
エアコンフィルターの汚れと、空調の異臭
エアコンフィルターに汚れがあり、空調にやや異臭を感じました。そのため、フィルター交換、熱交換器(エバポレーター)の洗浄、そしてエアコンシステム保護のためのエアコンガスオイルの補充をお勧めしました。
今回のご入庫時、タイヤ空気圧が140kPa(規定値220kPa)しか入っていませんでした。空気圧不足は燃費や乗り心地、タイヤの摩耗にも影響します。2〜3か月に1度は点検・調整を行ってください。
作業工程・技術的なポイント
ご提案した内容は、すべて施工することとなりました。主な作業内容は次のとおりです。
1. 吸気系・燃料系統の洗浄(コンピュータ診断で学習値を確認)
スロットルボディをWAKO’Sスロットルバルブクリーナーで洗浄し、スロットルボディ以降の吸気通路をPETRAフューエルシステムクリーナーで洗浄しました。さらに、燃料系統はWAKO’Sフューエル1で洗浄しています。作業後はスキャンツールで学習値のリセットと確認を行いました。

▲ 吸気系・燃料系統洗浄のご説明図(説明用イメージ)。洗浄箇所ごとに使用するケミカルを分けています。
ガソリンエンジンは、空気と燃料を混ぜた混合気を燃焼させて動いています。吸気系や燃料系統に汚れが蓄積すると、空気や燃料の流れが悪くなり、燃焼状態の悪化、排気ガスの悪化、燃費の低下、アイドリング不調などの原因となることがあります。
スロットルボディには吸入空気量を調整する役割がありますが、使い続けるうちに内部へ煤や汚れが蓄積します。汚れが増えると空気の流れを妨げ、エンジンの調子や排気ガスの状態に影響することがあります。
汚れの蓄積状況やセンサー類の状態によっては、洗浄だけでは改善しない場合があります。A/Fセンサーなど関連部品に異常がある場合は、別途点検・交換が必要となることがあります。
2. フロントスタビライザーリンクの左右交換
ゴムカバーが破れていた左右のフロントスタビライザーリンクを、新品に交換しました。

▲ 交換後のスタビライザーリンク。新しいゴムカバーが装着されています。
3. エアコンまわりの整備(臭い対策)
エアコンフィルターを交換し、エバポレーター(熱交換器)をWako’sエバポクリーナーで洗浄しました。また、エアコンシステム保護のため、Wako’s パワーエアコンリキッド(PAC-L)によるエアコンガスオイルの補充を行っています。
4. 車検整備にあわせて実施した作業
車検整備では、エンジンオイル・オイルエレメント交換、クーラント交換、前後ブレーキの分解・清掃(ブレーキフルード交換、リヤのカップキット交換を含む)、タイヤ空気圧調整・ローテーション、キーレスエントリーのバッテリー交換などもあわせて実施しています。内容の詳細は費用明細をご確認ください。
作業結果
吸気系洗浄後、洗浄前に-10.2%だった空燃比学習値は、-3.2%まで下がりました。ECUが燃料を減らす方向へ大きく補正していた状態が落ち着き、本来の状態に近づいたことが数値で確認できました。

▲ 洗浄後のスロットルボディ内部。黒い汚れが落ち、すっきりとした状態になりました。
スタビライザーリンクは左右とも新品に交換し、ゴムカバー破れの不安を解消しました。エアコンについても、フィルター交換とエバポレーター洗浄により、異臭の原因となる汚れへ対処しています。
費用明細
| 項目 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 車検整備基本工賃(24ヶ月点検) | 1 | 27,000円 | 27,000円 |
| 検査機器による点検・調整 | 1 | 5,000円 | 5,000円 |
| OBD点検実施(スキャンツールによるDTC読み取り) | 1 | 2,000円 | 2,000円 |
| オイルパン・ドレーン・ガスケット PD-0103 | 1 | 100円 | 100円 |
| Wako’s EX-CRUISEスペシャル 5W-30 SN/GF-4 | 3.40 | 部品サービス | 部品サービス |
| オイルエレメント V9111-0101 | 1 | 1,400円 | 1,400円 |
| PETRA Engine Shield | 1 | 3,800円 | 3,800円 |
| 用品特別値引き | 1 | -500円 | -500円 |
| Wako’s ハイパーロングライフクーラント | 3.30 | 2,000円 | 6,600円 |
| エンジン内部カーボン洗浄、スキャンツールにて学習値リセット | 1 | 2,700円 | 2,700円 |
| WAKO’S スロットルバルブクリーナー | 1 | 2,900円 | 2,900円 |
| PETRA フューエルシステムクリーナー | 1 | 6,000円 | 6,000円 |
| Wako’s フューエル1 | 1 | 2,160円 | 2,160円 |
| 前後ブレーキ分解及び清掃:パーツクリーナー | 1 | 1,800円 | 1,800円 |
| ブレーキフルード(DOT4) | 1 | 1,800円 | 1,800円 |
| リヤ・カップキット WK-542 | 1 | 840円 | 840円 |
| タイヤ空気圧調整及びローテーション | 1 | ― | ― |
| 左右フロント・スタビライザ・リンク・ブーツ破れ~交換(技術料) | 1 | 9,000円 | 9,000円 |
| フロント・スタビライザーリンク SL-T020-M | 2 | 4,350円 | 8,700円 |
| キーレスエントリー・バッテリー取替 | 1 | ― | ― |
| キーレス用バッテリー CR1632 | 1 | 500円 | 500円 |
| エバポレーター洗浄作業 | 1 | 4,500円 | 4,500円 |
| Wako’s エバポクリーナー | 1 | 5,500円 | 5,500円 |
| エアコンフィルター取替(上記含む) | 1 | ― | ― |
| エアコンフィルター V9114-1009 | 1 | 1,980円 | 1,980円 |
| エアコンガスオイル補充 | 1 | 1,800円 | 1,800円 |
| PAC-L Wako’s パワーエアコンリキッド 2.5mℓ 分 | 1 | 4,200円 | 4,200円 |
| 車検・早期ご予約割引(2か月) | 1 | -1,826円 | -1,826円 |
| 技術料合計 | 50,174円 | ||
| 部品合計 | 47,780円 | ||
| 整備料合計 | 97,954円 | ||
| 自賠責保険(非課税) | 1 | 17,650円 | 17,650円 |
| 重量税(非課税) | 1 | 37,800円 | 37,800円 |
| 印紙代(非課税) | 1 | 2,200円 | 2,200円 |
| 代行料 | 1 | 8,182円 | 8,182円 |
| 諸費用合計 | 65,832円 | ||
| 10%対象(税抜) | 106,136円 | ||
| 非課税対象 | 57,650円 | ||
| 消費税 | 10,614円 | ||
| 御請求額(総額) | 174,400円 |
※ナビの地図更新はディーラーに依頼しての作業になります。地図は2019年度版が最終となっております。
まとめ
今回のヴィッツは、OBD点検(コンピュータ診断)では異常がなかったものの、エンジンのリアルタイムデータから「燃料が濃い状態」という予兆を見つけ、スロットルボディのカーボン堆積を確認することができました。吸気系の洗浄により、空燃比学習値は-10.2%から-3.2%まで改善しています。
あわせて、破れていたスタビライザーリンクのゴムカバー対策として左右リンクを交換し、気になっていたエアコンの臭いにはフィルター交換とエバポレーター洗浄で対応しました。
車検は「通すための検査」だけでなく、故障が起きる前に車の状態を確認できる機会でもあります。故障コードが出ていなくても、データや目視点検で見つかる変化は少なくありません。日野市・八王子市・多摩市・稲城市周辺で、車検やコンピュータ診断、エアコンの臭いのご相談、修理をお考えの方は、お気軽に秀勇自動車へご相談ください。
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